2025年11月11日

【院長ブログ第1回:脳神経内科とは?】
初めまして、中野島ほしの内科クリニック院長の星野です。
この院長ブログでは、病気や治療法の解説、流行する病気の注意喚起、日常生活における健康管理方法の提案など、皆さまのお役に立てそうな情報を定期的に発信させていただきます。お時間ある際にぜひ、ご一読ください。
第1回目は、そもそも”脳神経内科”とはどんな診療科で、どんな症状や病気を専門に診られるのか、他の科とはどう違うのかといったことについてご紹介いたします。
☆脳神経内科とは? 脳神経内科の専門や特徴
脳神経内科は、主に脳・脊髄といった中枢神経と、末梢神経や筋肉といった臓器を専門対象とした内科です。人間の身体では、中枢神経から末梢神経や筋肉に電気信号が伝わることで、意識・記憶・言葉・体の動きや感覚といった機能が働いています。例えるなら、脳・脊髄が鉄塔や電波塔のようなもので、末梢神経という電線を通じて、筋肉という各家庭に電気が届けられているようなイメージです。この経路のどこかが障害を受けることで電気信号が正常に伝わらなくなり、意識障害・記憶障害・しゃべりにくさ・手足の動かしにくさやしびれといった症状が現れます。脳神経内科は、丁寧な問診と身体診察を重視し、電気信号経路のどこにどのような障害をきたしているのか診断し、適切な治療を行うことを専門としています。
☆脳神経内科領域の主な病気や症状
ここでは、脳神経内科で診る代表的な病気や症状について解説します。
1. 脳卒中(脳梗塞や脳出血など)
脳への血流障害をきたし、脳組織が破壊されてしまう病気です。
心臓から送られた血液は、大動脈⇒頸動脈⇒脳動脈を流れて脳に届きます。先ほどは神経を鉄塔や電線に例えましたが、血管は水道管をイメージしていただけるとわかりやすいかと思います。水道管が詰まってしまい水が届かなくなる状態が脳梗塞、水道管が破裂して水が外に漏れ出してしまう状態が脳出血です。顔のゆがみ・ろれつのまわりにくさ・片側の手足の動かしにくさといった症状が突然出現した場合、脳卒中が疑われます。脳卒中を起こした部位や程度によっては命に関わることもあり、また命が助かっても重い後遺症が残ってしまうこともあります。発症から早い時間であればあるほど治療選択肢は多いため、症状に気づかれた場合はすぐに病院受診もしくは救急要請してください。状態が落ち着かれた後は、再発予防が重要です。主に、血圧・血糖・脂質などの生活習慣病リスクの長期的な管理が必要となります。
2. パーキンソン病
脳の変性により、ドーパミンという神経伝達物質が不足したり上手く利用できなくなることで、身体の動きが遅くなり、手足の振るえや歩きにくさなどの症状をきたす病気です。
身体症状だけでなく、抑うつや幻覚といった精神症状や、便秘・頻尿・立ちくらみなどの自律神経障害を伴うこともあります。また、歩きにくさや立ちくらみなどが原因で転倒して怪我につながってしまうこともあります。残念ながら現代の医学では完治できる病気ではありませんが、ドーパミンを補う薬やドーパミンの働きを助ける薬など、症状を軽減させて状態を維持させるための治療薬は非常に多く開発されております。リハビリテーション療法や適度な運動が症状の進行を遅らせます。生活環境の整備による転倒や怪我の防止も重要です。病気が進行し身体機能が低下してしまった際には、治療費などの援助を国から受けられる制度もあります。
3. てんかん
脳の電気の流れに異常をきたすことで発作性に症状をきたす病気です。
発作を繰り返すことで、脳に不可逆的なダメージをきたしてしまうことがあります。
よく「てんかん」と「けいれん」は混同されますが、てんかんは病名であり、けいれんは症状です。けいれんを起こす原因は多岐にわたり、けいれんという症状を起こした=てんかんの診断ではありません。逆に、てんかんの発作症状はけいれん以外にも、意識がなくなる、一点を見つめたまま動かなくなる、全身の力が抜けてしまうなど人によって様々です。てんかんの診断のためには詳細な問診や身体診察の他、血液検査・頭部画像検査・脳波検査など詳しい評価が必要です。仕事内容や自動車運転の可否などにも影響するため、安易な診断は避けなければいけません。治療は発作を再発させないよう、睡眠不足など生活リズムの乱れに注意しながら、薬での管理を継続していきます
4. 認知症(アルツハイマー型、脳血管性、レビー小体型など)
認知症は、一旦獲得された記憶などの認知機能が徐々に低下していく病気です。
日本では高齢化に伴い患者数は年々増加しています。アルツハイマー型認知症、脳血管性認知症、レビー小体型認知症など様々なタイプが存在し、症状も人によって異なります。症状の進行に伴い社会生活や日常生活に支障をきたすようになるため、早期に発見し進行を遅らせてなるべく長く現状を維持させることが治療目標になります。薬による治療以外にも生活環境の整備やご家族への支援も含めた包括的なケアが重要です。
5. 頭痛(片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛など)
他にはっきりとした原因を伴わない一次性頭痛と、他の病気などが原因で引き起こされる二次性頭痛に分かれます。
二次性頭痛の治療は、原因となる病気の治療が最優先です。クモ膜下出血など命に関わる病気の可能性もあるため、最近になって新たに出現した頭痛には特に注意が必要です。
一次性頭痛は、片頭痛・緊張型頭痛・群発頭痛などが代表的です。基本的に命に関わることはありませんが、痛みの程度や出現頻度によっては日常生活や社会生活に支障をきたします。そのため、痛みを抑える治療や出現頻度を減らす治療が必要となります。睡眠不足やストレス、眼の疲れなどが悪化因子となり得るため、生活習慣の見直しや改善も重要です。
6. その他(めまい、手足のしびれ、足のむずむず感、顔のぴくつきなど)
めまいは耳の障害が原因のこともあれば、脳の障害が原因のこともあります。
手足のしびれは首や腰など整形外科的な障害の他、脳梗塞など脳の障害や、糖尿病など内科疾患に伴う末梢神経の障害の可能性もあります。
夜寝る時に足にむずむずとした不快感が出現して動かさずにいられない場合、むずむず脚症候群の可能性があります。
片側の目元や頬にぴくつきを繰り返す場合、片側顔面けいれんの可能性があります。
上記のような症状に関しても、脳神経内科受診をお勧めいたします。
☆混同されやすい診療科
名前から、精神科・精神神経科・心療内科などとの区別がわかりにくいかもしれません。
精神科と精神神経科は同一で、うつ病・統合失調症・不安障害など主に「こころの病気」を診る診療科です。
心療内科は、ストレスが原因で身体や心に不調をきたした「心身症」を主に診る診療科です。
睡眠障害や自律神経障害など、脳神経内科と一部重なる領域もありますが、専門性は異なるまったく別の診療科です。お悩みの症状でどちらに受診するべきか迷ってしまう際には、事前にお問い合わせいただくと良いかと思います。
☆まとめ
“脳神経内科”は、主に脳と全身の神経を診る内科です。問診と身体診察を重視し、患者さんの抱える症状や苦痛を軽減させ、生活の質を維持していただくことを目標としています。
上記で解説した病気や症状の他、他の診療科で原因が特定できなった症状でお悩みの場合なども、ぜひお気軽にご相談ください。
今回のブログを通じて、皆さまに少しでも脳神経内科を身近に感じていただけましたら幸いです。