2025年11月17日

【院長ブログ第2回:スギ花粉舌下免疫療法とは?】
こんにちは、中野島ほしの内科クリニック院長の星野です。
院長ブログ第2回では、本格的な花粉症シーズンが到来する前の今が治療開始のチャンスでもある、『スギ花粉舌下免疫療法』についてご紹介いたします。
毎年2月~5月頃、花粉症の季節になると眼のかゆみ・くしゃみ・鼻水・鼻づまりといった辛い症状に悩まされている方も多いのではないでしょうか。
近年、『スギ花粉舌下免疫療法』という治療法が注目を集めています。これはアレルギー症状の根本的な改善を目指す治療法で、すでに現れた症状を抑えるための従来の治療法とは異なります。今回、『スギ花粉舌下免疫療法』とはどんな治療でどんな患者さんが対象か、いつ始めるのが良いのか、どのような効果を得られるのか、副作用など注意点はあるのかといったことについて解説いたします。(※この記事は一般的な医療情報の提供を目的としているため、診断や治療の可否については必ず医師の診察を受けてください。)
☆スギ花粉舌下免疫療法とは?
スギ花粉舌下免疫療法は、アレルギーの原因となる「アレルゲン」を少量ずつ継続して体に取り入れることで体に慣れさせ、アレルギー症状を起こりにくくさせる、または起こっても軽微な症状に抑える治療法です。
この治療では、スギ花粉から抽出したエキスを含む専用の薬(例:シダキュアR)を毎日服用します。1日1回1錠を舌の下に短時間置いて、溶けたところで唾液と一緒に飲み込みます。これによりアレルゲンが体内に吸収され、免疫反応が少しずつ変化していきます。
●「慣らす」ことでアレルギーの根本改善を目指す
アレルギー症状に対する従来の内服薬や点鼻薬・点眼薬は、”出た症状を抑える”治療法ですが、スギ花粉舌下免疫療法は”アレルギー体質そのものを改善する”治療法です。アレルゲンを毎日少量ずつ体に取り込むことで過剰な免疫反応が起こりにくくなり、長期的にスギ花粉によるアレルギー症状を軽減させる効果を期待できます。
☆どんな人がスギ花粉舌下免疫療法の対象になるのか?
スギ花粉舌下免疫療法は、次のような方に適しています。
●対象となる方
・毎年春になると、眼のかゆみ・くしゃみ・鼻水・鼻づまりといった症状が強く出る。
・従来のアレルギー治療薬(抗ヒスタミン薬)を内服しても、症状が十分に抑えられない。
・長期的に季節性のアレルギー症状を軽減させたい。
・使用する薬の量を減らしたい、またはいずれ薬に頼らず生活したい。
●治療を受けられる年齢
現在、国内で主に処方可能なスギ花粉舌下免疫療法「シダキュアR」は、5歳以上の方が対象です。小児期から治療を開始することで、将来的なスギ花粉症の症状を軽減させられる可能性もあります。
●治療を受けられない方
次に該当する方は、治療を受けられません。
・過去に「シダキュアR」の投与によりショックを起こしたことのある方。
・重度の気管支喘息を患っている方。
●注意が必要な方
次の方は、治療を開始する前に医師とよく相談してください。
・他の免疫治療薬(減感作療法薬)と併用される方。
・軽度~中等度の気管支喘息を患っている方。
・重度の心疾患を患っている方。
・癌や自己免疫疾患を患っている方。
・口の中に傷や炎症がある方。
・ステロイド剤や非選択的β遮断薬など一部の薬を服用中の方。
・妊娠中または授乳中の方。
☆スギ花粉舌下免疫療法を開始するタイミングは?
スギ花粉舌下免疫療法は、スギ花粉があまり飛散していない時期に開始する必要があります。6月~12月に治療を開始します。
●スギ花粉飛散時期に開始できない理由
スギ花粉の飛散時期(2月~4月頃)は、体内のアレルギー反応が強く出やすく、副作用のリスクが高まるため治療開始はできません。そのため、スギ花粉の飛散が落ち着く初夏から冬の時期に治療を開始することが一般的です。
●治療期間の目安
スギ花粉舌下免疫療法は、治療開始から3年以上の継続が推奨されています。3年~5年継続することで、治療終了後も長期間にわたってアレルギー症状の軽減効果が持続することが期待できます。
☆治療の進め方と通院の流れ
①初回診察およびアレルギー検査
まずは眼のかゆみ・くしゃみ・鼻水・鼻づまりといった症状の原因がスギ花粉であることを確認するために、当院では血液検査を行います。スギ花粉に対してアレルギー陽性であれば、スギ花粉舌下免疫療法の治療対象となります。
②治療開始(初回は院内で投与)
処方した薬を薬局で受け取っていただき、1回目の投薬は院内で行っていただきます。医師や看護師の指導のもと投薬し、副作用など体調の変化が現れないか確認のため、30分間院内で観察させていただきます。
③毎日の自宅での投薬
2日目以降は、自宅で毎日1回投薬していただきます。投薬後5分程度は飲食を控えていただく他、投薬の前後2時間は激しい運動・入浴・飲酒など避けていただきます。
④定期的な受診
治療期間中は、1~2ヶ月に1回程度の頻度で通院が必要です。医師の診察で副作用の有無を確認後、薬の継続処方を行います。
☆スギ花粉舌下免疫療法で期待できる効果
●症状の軽減
眼のかゆみ・くしゃみ・鼻水・鼻づまりといった症状の軽減を期待できます。効果が現れるまでに数ヶ月~1年程度かかることもありますが、根気強く継続することが大切です。
●薬の量を減らすことができる
治療を継続することで、本格的なスギ花粉症シーズン中の内服薬・点鼻薬・点眼薬などの使用量を減らすことが期待できます。
●長期的な効果の持続
治療終了後も、アレルギー症状軽減効果が数年持続することが報告されています。また、ヒノキなど他の花粉症への症状拡大を防ぐ可能性もあるとされています。
☆主な副作用について
スギ花粉舌下免疫療法は比較的安全性の高い治療法ですが、稀に次のような副作用が現れることがあります。
・口の中のかゆみ・腫れ・違和感。
・のどの刺激感。
・軽いせきやくしゃみ。
・全身性のアレルギー症状(アナフィラキシー)。
多くの場合、症状は軽度で自然におさまりますが、強い症状が現れた場合はすぐに医師に連絡するか医療機関に受診してください。
☆よくある質問(Q&A)
Q. スギ花粉舌下免疫療法を途中でやめたらどうなりますか?
A. 効果が十分に定着する前に中断・中止すると、アレルギー症状の改善が不十分になることがあります。医師の指導のもとで継続していくことが大切です。
Q. スギ花粉以外にも効果はありますか?
A. ヒノキ花粉はスギ花粉と共通のアレルゲンを含んでいるため、ヒノキ花粉によるアレルギー症状に対しても効果が期待されています。
Q. 通院はどれくらい必要ですか?
A. 治療期間中は1~2ヶ月に1回の通院が基本です。副作用の確認や処方の継続を行います。
☆まとめ:スギ花粉症を根本から改善させたい方へ
スギ花粉舌下免疫療法は、これまで薬を使って辛い症状を抑えることが主な治療法であった花粉症に対して、根本から改善させられる治療法です。即効性はありませんが、3年以上継続することでスギ花粉による辛い症状を軽減させられるだけでなく、治療終了後もその効果を数年以上持続させることができます。
当院では、患者さんそれぞれの症状や体質に合わせて丁寧に診療を行っています。
スギ花粉症にお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。
本格的なスギ花粉症シーズンの到来前の今こそ、治療を開始するチャンスです。