院長ブログ第6回:CGRP関連薬|中野島ほしの内科クリニック|川崎市多摩区の内科・脳神経内科

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院長ブログ第6回:CGRP関連薬

院長ブログ第6回:CGRP関連薬|中野島ほしの内科クリニック|川崎市多摩区の内科・脳神経内科

2026年2月02日

院長ブログ第6回:CGRP関連薬

こんにちは、中野島ほしの内科クリニック院長の星野です。

院長ブログ第6回では、片頭痛の発症を抑える予防治療における新たな治療選択肢であるCGRP関連薬について取り上げます。

片頭痛は、日本人の有病率が約8.4%と非常に頻度の高い神経疾患です。出現頻度や痛みの強さによっては日常生活・仕事・学業・部活動などに大きな影響を及ぼしてしまう疾患のため、専門的な診療が必要になります。近年、片頭痛の病態解明が進み、その成果として登場したのがCGRP関連薬による予防治療です。本ブログでは、片頭痛が起こる仕組みやCGRPの役割、CGRP関連薬の種類・特徴・副作用といったことについて解説いたします。

片頭痛はどのようにして起こるのか

片頭痛の発症機序として脳血管や三叉神経を由来とする説や脳幹を由来とする説が提唱されていますが、いまだ確定していません。一方で、一酸化窒素、ヒスタミン、セロトニン、グルタミン酸、ドパミン、オレキシン、CGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)など種々の神経ペプチドが関与していることが示されています。また、ストレス、睡眠不足、女性ホルモンの変動、天候や気圧の変化なども片頭痛発作の契機となることが知られています。

CGRPの主な作用
CGRPは頭部の感覚を司る三叉神経系に多く発現しており、脳周囲血管のCGRP受容体に作用して、脳血管の拡張や硬膜の炎症を引き起こします。これにより、拍動性の強い頭痛、悪心・嘔吐、光過敏、音過敏などの症状が現れます。そのため現在では、CGRPは片頭痛発症の中核を担う物質と考えられています。

CGRP関連薬とは

CGRP関連薬は、CGRPやCGRP受容体に作用し、片頭痛の発生メカニズムを根本から抑制する治療薬です。つまり、片頭痛の原因に直接作用する予防治療薬と言えます。

従来の予防治療薬(カルシウム拮抗薬、β遮断薬、抗てんかん薬、抗うつ薬など)は、効果の個人差が大きい、脳や心臓の疾患をお持ちの方は使用できない、眠気やふらつきなどの副作用が出現してしまうといった課題がありました。一方で、CGRP関連薬は片頭痛の病態に特化して開発された予防治療薬であり、以下のような特徴があります。

●CGRP関連薬の特徴

・片頭痛の頻度や重症度を明確に減少させる。
・鎮痛薬の使用頻度を減らすことができる。
・4週に1回もしくは12週に1回の皮下注射で、毎日の薬の使用は不要。
・脳疾患や心疾患の既往があっても使用できる。
・副作用が比較的少ない。

日本で使用可能なCGRP関連薬(注射薬)

エムガルティ®(一般名:ガルカネズマブ)
作用機序:CGRPに直接結合
投与方法:皮下注射
投与スケジュール:初回は240mg(2本)、2回目以降は120mg(1本)を4週間に1回
3割での自己負担額(目安):初回は約13,000円~15,000円、2回目以降は約7,000円~8,000円
特徴:初回に2本投薬することで定常状態まで血中濃度を上昇させ、早期の効果発現が期待できます。CGRP関連薬の注射剤として日本国内では最も早く発売が開始された薬剤です。
 
アジョビ®(一般名:フレマネズマブ)
作用機序:CGRPに直接結合
投与方法:皮下注射
投与スケジュール:2通りあり、以下のいずれかを選択できます。
・225mg(1本)を4週間に1回
・675mg(3本)を12週間に1回
3割での自己負担額(目安):4週間ごとの投与で1回約7,000円~8,000円、12週間ごとの投与で1回約20,000円~22,000円
特徴:12週間に1回ごとの投与も可能であることが最大の特徴です。通院回数を減らしたい方や短い間隔での通院が難しい方に適しています。生活スタイルに合わせて柔軟に治療計画が立てやすい薬剤です。
 
アイモビーグ®(一般名:エレヌマブ)
作用機序:CGRP受容体に結合
投与方法:皮下注射
投与スケジュール:70mg(1本)を4週間に1回
3割での自己負担額(目安):1回約7,000円~8,000円
特徴:CGRP受容体に結合するため上記2剤と作用機序が異なる点が特徴です。初回投与時と継続投与時、さらには中断後の治療再開時も4週間ごとに1回1本の投与と同じ用法用量で治療を行います。

CGRP関連薬の副作用と注意点

CGRP関連薬はいずれも比較的安全性が高い薬剤ですが、副作用がまったくない訳ではありません。共通する副作用として、薬剤アレルギーと注射部位の反応(痛み・発赤・かゆみ・腫れなど)があります。また、特にアイモビーグ®で報告が多いようですが、便秘といった副作用も報告されています。
いずれも多くの場合、軽症かつ一時的な症状で済みますが、症状が続く場合は医師の診察が必要です。

日本で新たに発売されたCGRP関連薬(経口薬)について

2025年12月に、日本で初めて片頭痛の「急性期治療」「予防治療」の両方に適応のある経口薬として、ナルティーク®(一般名:リメゲパント)が発売されました。これまでのCGRP関連薬は注射製剤が中心でしたが、内服できるタイプが発売されたことで患者さんの治療への抵抗感軽減が期待できるとともに、より患者さんの生活スタイルに合わせた柔軟な治療選択が可能となりました。

ナルティーク®(一般名:リメゲパント)
作用機序:CGRP受容体に結合
投与方法:経口
投与スケジュール:急性期治療と予防治療とで用法が異なります。
・急性期治療:片頭痛発作出現時に75mg(1錠)を1回内服
・予防治療:75mg(1錠)を1日おきに内服で継続
3割での自己負担額(目安):1回の内服で約900円、1日おきの内服(予防治療)の1ヶ月分で約10,000円~12,000円
特徴:1つの薬で「急性期治療」と「予防治療」の両方が可能な点が最大の特徴です。また、これまでCGRP関連薬は注射製剤が中心でしたが、ナルティーク®は内服できる点も他にはない特徴です。
さらに、従来の片頭痛の急性期治療薬の中心であるトリプタン製剤には血管収縮作用があるため脳血管障害や心血管疾患の既往のある患者さんでは使用できませんでしたが、ナルティーク®は血管収縮作用をほとんど持たないため、より幅広く多くの片頭痛患者さんに使用できる可能性があります。薬の形状もOD錠(口腔内崩壊錠)のため、水が用意できない状況でも内服しやすく、急な片頭痛発作出現時にも対応しやすい点が魅力的です。

CGRP関連薬はどのような方に適しているか

以下のような方は、CGRP関連薬の良い適応となります。
・片頭痛と診断されている。
・直近3ヶ月間以上において、月に4日以上片頭痛発作が出現している。
・他の片頭痛治療薬で十分な効果が得られなかった。
・副作用で他の片頭痛治療薬を継続できなかった。
・片頭痛の影響で生活の質(QOL)が低下している。
保険適応には一定の条件がありますので、専門の医師の評価が必要です。

頭痛でお困りであれば頭痛外来へ

CGRP関連薬は、片頭痛の原因に直接作用する画期的な予防治療薬です。
頭痛を我慢し続けるのではなく、正確な診断と適切な治療によって、日常生活を大きく改善させられる可能性があります。
当院は脳神経内科として頭痛診療にも力を入れ、患者さま一人ひとりに合わせた治療をご提案しています。お一人ずつしっかりとお話しを伺えるように頭痛外来は日時を指定した時間予約制を取らせていただいておりますので、ご都合の良い日時でご予約ください。
まずはご相談のみでも結構ですので、お気軽にご受診ください。

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