【院長ブログ第3回:冬の肌トラブル -治療法とセルフケア-】|中野島ほしの内科クリニック|川崎市多摩区の内科・脳神経内科

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【院長ブログ第3回:冬の肌トラブル -治療法とセルフケア-】

【院長ブログ第3回:冬の肌トラブル -治療法とセルフケア-】|中野島ほしの内科クリニック|川崎市多摩区の内科・脳神経内科

2025年12月03日

【院長ブログ第3回:冬の肌トラブル -治療法とセルフケア-】

こんにちは、中野島ほしの内科クリニック院長の星野です。

院長ブログ第3回では、寒さや空気の乾燥が本格化してくると悩まされる方も多い、冬の肌トラブルに関して取りあげます。

冬になると、「肌の乾燥がつらい」、「皮膚のできものが増えた」、「体がかゆくて眠れない」といった相談が多く寄せられます。気温と湿度が低下する冬は、一年のうちで最も皮膚のバリア機能が弱くなる時期であり、乾燥肌・手荒れ・アトピー性皮膚炎の悪化など様々な肌トラブルが増加します。

本記事では、冬に増える肌トラブルの特徴や悪化する要因、治療法、ご家庭でできるセルフケアについてご紹介いたします。冬の肌トラブルでお困りの方は、ぜひご一読ください。

冬に悪化しやすい肌トラブル

●乾燥肌(ドライスキン)
冬の肌トラブルの代表の一つです。皮膚表面の水分量が減り、肌が乾燥した状態です。粉ふき・つっぱり感・かゆみ・赤みが出やすくなります。ひどくなるとひび割れに進行することもあります。

●乾燥性湿疹(皮脂欠乏性湿疹)
皮膚が乾燥することでバリア機能が失われ、赤みやブツブツが生じた状態です。ご高齢の方で発症しやすいですが、成人や乳幼児で発症することもあります。

●アトピー性皮膚炎の悪化
皮膚の水分や皮脂が不足することでバリア機能が失われ、外部からの刺激を受けやすくなり皮膚炎が悪化します。

●手湿疹
空気の乾燥だけでなく、こまめな手洗いやアルコールでの手指消毒が原因で、指先や掌の皮むけやひび割れをきたしやすくなります。

なぜ冬は肌トラブルが起きやすいのか?

●湿度の低下による皮膚の乾燥
冬は平均湿度が50%を下回り、空気はとても乾燥しています。その影響で皮膚からの水分の蒸発が増え、皮膚表面のバリア機能が低下します。

●暖房による皮膚の乾燥の助長
エアコンやストーブによる室内の湿度はより乾燥し、皮膚の乾燥もさらに助長されます。

●気温の低下による皮膚の血行不良
気温の低下に伴い全身への血液の循環が悪くなり、皮膚に栄養が十分に行き渡らなくなります。

●衣服による摩擦
厚手の衣類や毛羽立った繊維が皮膚に刺激を与え、炎症を起こしやすくなります。

●入浴習慣の変化
熱いお湯を使用したシャワーや、湯船に長い時間浸かることで皮脂が奪われ、皮膚のバリア機能はより低下します。

クリニックで行う治療法(保湿剤外用、ステロイド外用、非ステロイド外用、内服薬など)

冬の肌トラブルの治療は、症状に応じて外用薬や内服薬を組み合わせて行います。
近年は従来の保湿剤外用やステロイド剤外用だけでなく、非ステロイド外用薬などの選択肢も増え、治療法の幅が広がっています。

●保湿剤外用
保湿剤外用は、冬の肌トラブルにおいて基本かつ最も重要な治療法です。皮膚表面の水分や皮脂の喪失を減らすことでバリア機能を保持し、外部からの刺激を防ぎます。保湿がしっかりできていると、他の外用薬の効果も高まり、症状がより改善しやすくなります。

保湿剤にはいくつか種類があり、それぞれ特徴が異なります。

・ヘパリン類似物質(ヒルドイドなど)
皮膚の角層に直接水分を与えることで保湿を図ります。
保湿効果が高く、べたつきが少なく塗りやすい特徴があります。
軟膏・クリーム・ローション・スプレーなど剤形が多いのも魅力的な点で、当院でも保湿剤として処方する機会が多い外用薬です。
一方で、種類により独特のにおいを伴うものもあります。

・尿素製剤(ウレパールなど)
皮膚の角層に直接水分を与えることで保湿を図ります。
保湿効果が高く、また角層の柔軟化作用も高い特徴があるため、かかと・ひじ・ひざなどの部位への塗布に適しています。
一方で、炎症部位に塗ると多少の刺激感を伴うことがあるため注意が必要です。

・ワセリン(プロペトなど)
油性成分による皮膜を角質表面に作ることによって水分の蒸散を抑えます。
刺激感が少なく、新生児や乳幼児にも使用できます。
保湿効果や角層柔軟化作用など幅広い効果を発揮します。
一方で、べたつきやすさがあります。

保湿剤を塗る最も効果的なタイミングは入浴直後です。肌に適度な水分が残っているうちに塗ると保湿効果がより高まるため、できれば入浴後5分以内の外用が望ましいです。肌が乾燥しやすい冬は、1日2回の保湿剤外用を目標にすると、肌トラブルの予防効果が高まります。

●ステロイド外用
ステロイド外用は、アトピー性皮膚炎など炎症を伴う肌トラブルに対する標準治療薬です。赤み・かゆみ・腫れなどを速やかに改善させ、悪化を防ぐ効果的な治療法とされています。

ステロイド外用薬は効果の強さによって5段階(weak・medium・strong・very strong・strongest)に分類され、塗る部位や症状の程度に応じて使い分けます。顔・首・陰部などは皮膚が薄くステロイドを吸収しやすいためなるべく弱めのステロイドを、手足や体幹部など皮膚が厚い部位や炎症の程度が強い部位にはなるべく強めのステロイドを選択するなど、患者さんそれぞれの症状に応じて治療薬を検討します。

ステロイドに対して「副作用が怖い」といったイメージをお持ちの方も多いかと思いますが、ステロイドの外用は内服や点滴に比べて全身性の副作用をきたす危険性は非常に低く、”適切な種類””適切な用法・用量””適切な期間”使用すれば安全性は高い治療法です。

皮膚の炎症を早期に鎮めることで色素沈着も残しにくくなるため、イメージを理由に使用を避けるのではなく、不安な点をぜひ医師に伝えていただくと良いと思います。

●非ステロイド外用
近年、皮膚のかゆみは炎症を鎮めるステロイドではない塗り薬が複数使用可能となってきました。顔や首などの皮膚が薄い箇所への外用や、ある程度長期的な外用に適しています。

・モイゼルト軟膏(一般名:ジファミラスト)
ホスホジエステラーゼ4という酵素の働きを阻害することで、炎症やかゆみを鎮める作用を発揮します。
生後3ヶ月~成人まで、幅広い年代のアトピー性皮膚炎患者さんに使用できます。
また、顔や陰部などデリケートな部位にも比較的安全に使用できます。

・コレクチム軟膏(一般名:デルゴシチニブ)
ヤヌスキナーゼという酵素群の働きを阻害することで、炎症やかゆみを鎮める作用を発揮します。
生後6ヶ月~成人まで、幅広い年代のアトピー性皮膚炎患者さんに使用できます。
刺激感も少なく、長期使用における安全性も確認されています。

・プロトピック軟膏(一般名:タクロリムス)
免疫細胞の過剰な働きを抑えることで、炎症やかゆみを鎮める作用を発揮します。
2歳~成人まで、幅広い年代のアトピー性皮膚炎患者さんに使用できます。
一時的に皮膚の刺激感が現れることがあります。

これらの非ステロイド外用薬を用いることでステロイド使用量を減らすことが可能となり、また顔や陰部などデリケートな部位に比較的安全に塗布することもできます。長期的に使用しても、ステロイドの長期使用時にみられる皮膚萎縮や血管拡張といった副作用をきたす危険性も非常に低いとされています。

当院でも、アトピー性皮膚炎の患者さんにおいて、それぞれの症状を評価しながら非ステロイド外用薬を積極的に処方しております。

●抗ヒスタミン薬内服
皮膚のかゆみが強く日常生活や夜間の睡眠に支障をきたしてしまっているような場合に、抗ヒスタミン薬の内服を併用していただきます。1日1回内服の薬や、眠気の出にくい薬もありますので、かゆみの程度が強い場合には外用薬との併用をお勧めします。

ご家庭でできる冬の肌トラブル対策

●入浴後の徹底した保湿
入浴後5分以内の保湿剤外用が最も重要です。部位や程度によって適した種類および適した剤形がありますので、それぞれの症状に見合った保湿剤を使用しましょう。

●入浴習慣の見直し・改善
・お湯の温度は38~40℃。
・長風呂を避ける。
・石鹸は必要な部位にのみ使用する。
・なるべくボディタオルは使用しない。

これだけでも乾燥肌の改善が期待できます。

●室内環境の加湿・保湿
加湿器などを用いて、湿度50~60%を維持することを心掛けましょう。

●こまめな水分補給
汗をかきにくい冬も体から水分はどんどん逃げていきます。のどの渇きを自覚していなくても、こまめな水分補給を心掛けましょう。

●衣類の素材に注意
ウールなど肌への刺激の強い素材は、綿素材のインナーを使用するなど直接肌に触れないよう注意しましょう。

医療機関受診の目安

以下のような症状があれば、医療機関への早めの受診をお勧めします。

✔ 保湿剤を塗っていても乾燥肌が改善しない。
✔ 肌の赤み・できもの・ひび割れといった症状が続く。
✔ 皮膚のかゆみが強くて眠れない。
✔ アトピー性皮膚炎の症状が悪化してきた。
✔ 手荒れのせいで日常生活に支障をきたす。

冬の肌トラブルは、早めの治療が改善の近道です。

当院では、内科医による一部の皮膚疾患(アトピー性皮膚炎、にきび、水虫、口唇ヘルペス、帯状疱疹など)の診療を行っております。当記事でご紹介した乾燥肌や手荒れなど冬に多い肌トラブルの診療も行っておりますので、症状でお困りの方はどうぞお気軽にご相談ください。なお、症状によっては皮膚科専門医への受診をお勧めさせていただく場合もございますので、あらかじめご了承ください。

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